2018年の11月に始まったジレ・ジョーヌによるデモは2019年に入っても毎週土曜日に行われています。
今回は、パリのその後がどうなっているのかを見てきましょう。
レッスンの内容
前日のデモの様子
パリでジレ・ジョーヌのデモのあった翌日、花子さんとマリーさんは前日のデモについて話をしているようです。
会話
Marie : La violence de la manifestation des gilets jaunes est redevenue très dangereuse…
ジレ・ジョーヌのデモの暴力行為が、またとても危険になってきたわね。
Hanako : J’ai vu à la télé, un policier par terre attaqué par plusieurs personnes.
私は地面に倒れた警察官を何人もの人が襲っているのをテレビで見たわ。
Marie : Je l’ai vu aussi. En plus, les images des immeubles incendiés aux Champs-Elysées.
それ、私も見たわ。それにシャンゼリゼの建物の火事のイメージとか。
Ça m’a beaucoup choqué.
ショックを受けたわ。
Hanako : Le Fouquet’s a aussi été incendié…
フーケも放火されたわね。
Je suis allée à ce restaurant il y a longtemps, avant même de venir m’installer à Paris.
このレストランに昔行ったことがあるのよ。パリに住みにくる前のことだけど。
Marie : Je n’y suis jamais allée. Pour moi, il est un restaurant pour les riches.
私は行ったことがないわ。私から見たら、お金持ちのためのレストランだもの。
Hanako : Il se situe en plein milieu des Champs-Elysées, et son style typique parisien fait rêver les touristes étrangers.
シャンゼリゼのど真ん中に位置しているでしょ。それに典型的なパリのスタイルは外国人の旅行者を魅了するのよ。
ポイント
manifestation
「manifestation」は「デモ」のこと。社会に何かしら不満があるときに、その示威行為として行われます。
同じような行為に「grève」がありますが、こちらは「ストライキ」のことです。労働条件の改善を求めて勤務先に対して行う行為ですね。
s’installer
「installer」は「設置する」という意味ですが、代名動詞「s’installer」だと「(場所に)落ち着く・住み着く」という意味になります。
Je m’installe à Paris.
パリに居を構える
Installe-toi au canapé, je te prie.
どうぞソファーに座って。

ジレ・ジョーヌの2019年3月の動き
2018年の11月から始まったジレ・ジョーヌによるデモは最初のころほどの勢いはなくなりましたが、2019年に入っても毎週土曜日に決行されています。
凱旋門に侵入し破壊行為を行なったり、路上駐車の車を燃やしたりといったまるで戦争のような激しい破壊行為は回数を重ねるにつれ、比較的沈静化の傾向がありました。
ところが18回目を迎えた2019年3月16日のシャンゼリデにおけるデモは、初期の破壊行為を彷彿させる激しさとなってしまいました。
建物への放火
今までにも路上の車やごみ箱を燃やしたり、タイヤや木材で作ったバリケードを燃やしたりということはありました。
また店のガラスを壊したり、そこから侵入して店内を荒らしたり略奪行為に及ぶこともありました。
ところが18回目のデモでは、なんと破壊した店に放火までされてしまったのです!もちろんそれらの店の上階にはアパートがあり、住んでいる人がいるにもかかわらずです。
幸いなことに消防士によってすぐに消火活動が行われ大きな人的被害は出ませんでしたが、放火という超えてはいけない一線を踏み越えてしまった印象があります。
老舗レストランのLe Fouquet’s
シャンゼリゼの凱旋門よりに位置しパリの老舗レストランを代表する Le Fouquet’s も、残念なことに放火の対象になってしまいました。
1899年より営業しており歴史的建造物にも指定されている Le Fouquet’s は、パリのガイドブックにも掲載されていることが多いですから、知っている方も、実際に行ったことがある方も多いかもしれませんね。
他にも Longchamp に Foot Locker といったブティック、 Léon de Bruxelles に le café Deauville といった飲食店も放火の被害にあっています。

キオスク
Le Fouquet’s などのレストランやお店以外にも「Kiosque キオスク」も放火の被害にあいました。
新聞や雑誌以外にも絵葉書やパリの地図が売られているので、旅行者にも便利な存在です。丸いドーム型屋根がついた古き良きパリの面影を感じさせるデザインで、シャンゼリゼの風景になくてはならないものの1つですよね。
ところが防寒面や毎日の開店・閉店業務の大変さなど、そこで働く人々にとっては決して快適な環境ではありません。また彼らは収入面でも決して恵まれてもいません。
そんな「Kiosque」が燃やされてしまったことで、ジレ・ジョーヌの活動に理解を示していた人の中からも、もうそろそろお終いにすべきだとの意見も出てきています。
ジレ・ジョーヌは社会的な不公平さの改善も掲げていますが、彼らのデモのせいで低賃金でも頑張って働いていた人の仕事を奪ってしまうという半面を併せ持ってもいるのです。
※2019年3月17日の情報です。